【総評】
誰がみても「明石だ!」といえるような場所でなくても、そして誰にとっても「日常」や「特別な日」ではなくても、
写真を撮ったその人にとって、明石らしい、そして大切な日常であり、特別な日の表現がありました。そうした写真
に対して、共感のコメントが寄せられました。それぞれの表現が多様であり、それぞれの個性に魅力を感じつつ、
投票の結果をふまえ、下記の通り賞を選考いたしました。
今回は、36名72点の作品が集まりました。投票数は、WEB42票、会場120票の合計162票となりました。投票用紙には、
「彩度が高すぎない所が好き」や「色鮮やかできれい」といった写真そのものへのコメントや、「めったに見られない
ドクターイエローと黄金色の稲穂が素敵」や「海の生き物が描かれた船が面白く」など写された対象物へのコメントが
多く見られました。
一方で、「見逃してしまいそうな、何気ない、魚のまち『明石』の風景」とか「これぞ春の明石を代表する風景!」と
いうコメントからは、観覧者の方が明石らしさとは何か、明石の魅力とは何かを考えた形跡が見られ、「明石の日常」
「明石の特別な日」という本写真展のテーマにそった作品であったと言えます。
【明石の日常賞】
作品名:明石の夏 作者:YUKI
明石の夏の風物詩といえば、干しダコであるというコメントが多く見られました。なかでも「明石(林崎)を離れて
30数年、現在75才。明石といえばやはり漁港の風景。それも干し蛸の風景は忘れられないものです。おじが蛸つぼ漁師
をしていたのでよけいに明石は蛸のイメージです」というコメントからは、その土地を離れた人の記憶を呼び起こした
ことがうかがえました。
また自転車にのった二人連れに着目したコメントも多く寄せられました。遠景に動きのある、また若々しい人をもっ
てきたことによって、夏のさわやかな空気感がよく表れていると思います。
【明石の特別な日賞】
作品名:市民のオアシス 作者名:Dobby
明石公園でお祭りがひらかれることについて、日常であるという評価と非日常であるという評価にわかれました。
市民にとっては、賑わいのある明石公園というのは日常的な光景なのかも知れません。一方で「早くこのような賑わ
いのある日常が戻ってきてほしい」「賑わいを取り戻した」というコメントからは、コロナ禍で催事を中止していた
明石公園が賑わいをみせていることに、安堵した気持ちをもったことが伝わってきました。
大人にとっては久しぶりの公園の賑わいと、子どもたちにとっては夏の楽しい思い出となるのでしょうか。俯瞰で
とらえたこの写真から、人それぞれの思いが光のつぶとなって輝いているように感じられました。
【ぶんぱく奨励賞】
・該当なし
理由:選外にも良作が複数ありましたが、技術も表現力も高く、「奨励」には当たらないと判断しました。