春季特別企画展新聞小説「親鸞」連載「親鸞聖人750回忌記念企画 親鸞展」2011年04月09日~2011年05月08日

激動の中世を生き抜いた浄土真宗の開祖・親鸞。

若い頃、親鸞は比叡山で修行に挑みながら、悩み、苦しんでいました。それは現代の 私たちの言葉で考えれば、どんなに苦しい修行を果たしても、生きる実感や生きている意味を見出せなかったということではないかと思えます。同じころ法然という僧は、京都東山のふもとの草庵で、「南無阿弥陀仏」を称えれば、すべての人が極楽浄土で救われるという教えを説いて大変な人気を博していました。なぜ、「南無阿弥陀仏」だけで救われるのかといえば、阿弥陀如来という仏さまがそう誓われたからなのです。阿弥陀如来や極楽浄土といった言葉が並ぶと、現代の私たちはとたんに遠い話のように感じてしまうかもしれません。でも、法然が見出した阿弥陀如来の誓いが意味するのは、私たちは誰ひとり例外なく、生きる価値のある存在なのだ、ということに尽きると思います。極楽浄土への往生とは、命の尊さを意味しているのではないでしょうか。
 迷える青年・親鸞は、そうした法然の教えに出会い、生きる意味をしっかりと受け止めることができたのだと思います。人生は辛く、苦しい。しかし、どんな人生も等しく大切で、かけがえのないものなのだと思えたとき、自ずと力がわいてくるのです。生涯の師・法然に出会った後も晩年にいたるまで、親鸞は自分のなかに 起こる疑問や不安に、真正面から向き合いながら、考えを深めていきました。その足あとをたどれば、厳しい現実に向き合う私たちにも貴重なヒントとなるはずです。
本展覧会では、京都・東本願寺の「阿弥陀如来立像」、親鸞の生涯を描いた「親鸞聖人伝絵」など日本各地の寺宝といえる作品に加え、八百年前に親鸞が見た風景映像を斬新なグラフイックスなどで構成し、解説、年表パネルとともに親鸞の生涯の足跡をたどります。

観覧料 大人 : 1000 大高生 : 700 中小生 : 500
※前売り・団体(20名以上)2割引
※高年手帳(65歳以上)・障害者手帳提示にて半額
開催場所 明石市立文化博物館
開館時間】午前9時30分~午後6時30分(入館は30分前まで)
休館日 会期中無休
主催 明石市立文化博物館、神戸新聞社
後援 兵庫県、兵庫県教育委員会、明石市教育委員会、財団法人兵庫県芸術文化協会、財団法人兵 庫県学校厚生会、NHK神戸放送局、サンテレビジョン、ラジオ関西、明石ケーブルテレビ
問い合わせ 明石市立文化博物館(電話:078-918-5400)