本展は「明石原人」の発見者、直良信夫生誕100年展と題し、直良が明石在住時に調査・研究をした神戸市大歳山遺跡の縄文土器、神戸市投上の銅鐸等の考古資料をはじめ動物等の標本、自筆の原稿やスケッチなど貴重な資料約200点を展示しております。
直良信夫は「明石原人」の発見者として名高く、また、その生涯にわたっての考古学、古生物学等の分野において残してきた業績は、今もなお高く評価されています。今回の展覧会においては、直良の研究の業績を振り返り、人間直良信夫の実像に迫るとともに、直良が追求してきた「明石原人」問題を改めて考察する機会として開催するものです。
直良信夫は、幼いころより歴史に深い関心を抱き、学問を行うために上京する。岩倉鉄道学校を卒業後は、農商務省臨時窒素研究所に勤める。この頃喜田貞吉の影響で考古学に興味を持ち、貝塚などの遺跡調査に関わる。直良が考古学について書いた論文には、日頃の研究所での経験が生かされ、科学的な思考法が色濃く認められる。その後、病に侵され故郷臼杵へと帰る途中、直良 音のいる姫路へ立ち寄る。そして二人は結婚し、明石市大蔵谷へと住所を変え、直良の明石時代は始まる。明石の地は、近くに大歳山などの縄文遺跡をはじめとする古代遺跡や、古生物の化石を多く産する西八木海岸などがありさらには、自然が多く残っており、身近で動植物の観察ができる」というように、療養しながら研究生活を送る直良にとっては、恰好のフィールドであった。1924年秋から1932年秋にいたる8年間の明石での生活は、その後考古学、古生物学、地質学、生態学など、各分野にわたる総合的な学問へと発展させていった「直良学」の基礎が築き上げられた期間であったと位置付けられる。
そして、再び東京へ出てからは、早稲田大学の徳永重康のもとで古生物学の研究に取り組む。特に中国東北部ハルビン市郊外のクーシャントンの発掘では、野牛や水牛、鹿など多量の獣類化石が出土し、その整理と報告書作成を通して直良の古生物学研究は本格的なものとなる。その後は、貝塚などの遺跡から出土した獣類化石の種の同定を始め、現世の動物の研究にまで対象を広げ、その生態などを細かく観察し記録化していった。独学を続けてきた直良にとって、身のまわりのものはすべて教材であり、それから多くのものを学び取ろうとしたのである。直良の学問への姿勢は、既成の固定観念にとらわれることなく、自らの脚で歩き、眼で観たことから、物事の本質に迫ろうというものであった。従って、発想は常に斬新であり、研究に大きな広がりを与えることとなった。
観覧料 |
大人 : 200 大高生 : 150 中小生 : 100 *20名以上の団体は2割引、高年手帳(65歳以上)・障害者手帳提示で半額 |
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開催場所 | 明石市立文化博物館(明石市上ノ丸2丁目13-1)1階特別展示室 |
休館日 | 毎週月曜日、第3火曜日 |
主催 | 明石市立文化博物館 |
問い合わせ | 明石市立文化博物館 (078-918-5400) |